Köln concert

「 1975年のケルン・コンサート」を観た。

ケルン・コンサートは学生の頃CDを聴いた。しかしピンと来なかった記憶がある。即興で演奏された曲、同じ旋律は現れない(その台詞が映画にあった)。現れて消えていく旋律を掴めないのが、捕まえた旋律を耳で遊ばせられないのが自分には無理でした。


自分自身のままでもう人生が始まっているヴェラを心底羨ましーと思ってしまった。冒頭から我が子の誇りを奪ってきたファッキンな父親(歯科医の傍らで壁一面の大作である油絵を描いている)をどうするよ、とハラハラする一方で母親がすごく良い。本当に。我が子のビッチな場面に遭遇しながらジャッジしない。凄え。自立した母親が子どもである自分を受容してくれるってめちゃくちゃ勇気出るよなと思う。



繊細な魂の音楽家と音楽を愛するプロモーターが一月のケルンで出会う。そこにえっ…あり得なくない…?というトラブルを挟んで二人が交わす会話が良かった。本質的に相容れない他者同士が妥協点を探す対話だった。


キース・ジャレット役の俳優については何故彼だったのかなと思う。顔立ちのせいで弾いてる姿がウラディミール・アシュケナージに見えたよ。


でもケルンに向かう道中、キース・ジャレットが車を止めて朝焼けの空を眺める場面はとても良かった。凍えた山の空気、何層にもなった雲の合間に淡い光が見える。ゆっくりと風が流れて暗い雲が動いて行く。羊たちの鳴き声と鈴の音が響く。同じ空は二度と無い、とはゴダールのモノローグだったと思う。何の映画だったかは忘れたけど。





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