以前子どもと観に行った映画館で 「ドランクヌードル」の予告が流れ、わっ気まずいな!と内心慌てた。ただ画面は美しいし刺繍と詩、あとロメールの「四つの冒険」に着想を得ていると知ったら観ない理由はない。 タイトルのドランクヌードルとはタイ料理の炒め麺、四話構成の一話目に出てくるが、オイスターソースとかナンプラーのあの匂いか…と思う。言ってみればfishy、エロい匂い。 歩くハッテン場のような主人公ではある。彼ら同士の身体言語サイン、あとその後の進展が早いのでなんだか森の生き物をみているようだ。そう、生きてる感じがあるのだ。事後のたどたどしい会話から移民かな、と感じさせる彼は母国語では詩集を出している言葉の優れた使い手だった。刺繍から想起された欲望の想念がどちらのものなのか境界が曖昧になるのもよかった。 四つの冒険から着想を得た部分というのが割とそのまんまで楽しい。主人公は動いただけで向こうから当たりに来る、モテ男ではあるが共感できる存在なのがいい。惹かれるポイントがアートというところ。アーティストは亡くなった恋人の作品を刺繍で辿ってみたらそれがしっくり来て、という。性愛で結びつき想念を共有する描写にはピュアだなあと感動してしまう。 歩くハッテン場がリアルのハッテン場に出向いたら磁極でも反発したのか時空を飛んじゃいました、みたいな展開にはラノベ感を感じなくもない。けど何かこう、アートという世界の門の広さ、懐の深いところを見せられたようで有り寄りの有り?ではある。 青い空に李白の詩を縫いつける描写、何だか美しくて、文字が。人間のすることってかわいいよな、と思う。