シネマスコープ
最寄りのターミナル駅を出て川を越えると 90年代で時間が止まった商業ビルがある。中は大きな映画館がいくつもある大変に贅沢な仕様。周囲が個性を追求とかした結果一様な外見に転じていく中で、そこだけは異質なパラダイス感を保ち続けていて、長らく自分(と家族)のオアシス的な場所だった。しかしとうとう9月末で閉館だそうだ。
閉館のお知らせを見た瞬間胸に穴が空いたのは仕方ない。だってこんなパラダイス他にもう無いんだもの。傷がケロイドになるまでのカウントダウン。
んでアントニオーニの砂丘がかかるというので観に行った。学生時代に池袋で観たんだっけリバイバルで。ロサとセレサは毎週のように行ってたよ。そんな中年の感傷をはやく吹っ飛ばしてくれ。200席近い大劇場、朝一の上映、観客はまばら。スクリーンがシネマスコープサイズに広がる音が大好きだ。
美しい二人が出会えばお伽噺だ。この映画を引用した現代美術もあるのも理解できる視覚的快楽を追った画面が連続する。好き。ダリア・ハルプリンの日焼けした肌が美しい。榛色の瞳がいい。オフィスのアシスタントなのに今どこにいる?というボスの問いに逆に調べさせるのがいい。彼女だけが生きている。
そういえば飛行機ってあんな盗んだバイクで〜みたいなノリで動かせるものなんか、と昔も思った気がする。彼の乗る車は年季の入ったピックアップトラックだったが、確かに農業経験があるなら飛行機くらい乗れるのかも知れない。農薬撒くのに。
砂に塗れた人間の身体が彫刻のように見えるのは、ポップな広告美術へのルネサンス的カウンターかしら。と思った。ラストがいい。
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