ドキンチョウ
昔会社員だった頃あなたみたいなひとは釣り人に向いてますよと、言ったのはぼくの兄と同年代の方であった。それくらいしか接点を覚えていない。ただそのときから無限の頁を持つ広辞苑のごとき世界線のどこかの、静かな渓流でひとり釣り竿を垂れている自分を想像するようになった。言われたときはいや自分はそんな釣りなんて魚が寄ってくるのを優雅に待ってられませんよ真逆ですよドのつくせっかちで常に貧乏ゆすりでもしたい欲求を社会生活の手前意志の力で抑えつけておかげで常に疲弊してます、みたいな。自分の屁で死ぬカメムシのようだったのだが、その方が言うのは釣り人ってのは釣り竿を垂れながら考えてるのははよ釣れ釣れ釣れそればっかりなんですその事ばっかりじりじりじりじり考えてる人の竿にかかるんです、という事であった。ええ…おれはむしろ無になりたいよ…渓流にまで自意識持ち込んでそればっか考えてるなんてとそれは言わずに笑って誤魔化したとおもう。その方は言うまでもなく釣り人であったのだが。
緊張していた事がひとつ終わってほっとしている。自分を弛める行動のストックが増え、今回もいくつか試して効果を実感した。
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