日記
この時期朝起きてまずやる事は球根のガラスにノズルで水をちゅっと注ぐ。根が乾かないように。
一昨日咲いたチューリップが大きく花びらを広げている。全開。と思ったら今見たら普通に閉じていた。何だったの?
和山やまさんのファミレス行こ。の最終話読んだ。正直まだ理解が追いついてない。本当面白い。こんなに集中して読んだフィクションいつ以来だろう。
感想はぼく自身の理解のために書く。ファミレス行こ。は読者それぞれの胸に委ねられる物語だと理解している。個人の語る印象のひとつとしてゆるされるものだと思いたい。
****
聡実くんは23日の昼の新幹線で帰省し、その夜に狂児にLINEしている。24日の夜に会うのだ。それクリスマスイブっていうんですよね。
個室の掘り炬燵、二人の空気がファミレス行こ。以来初では?というほど和やかである。特に狂児。マックの果し合いとライターの始末によって彼は安心したのだろうか。という事は果し合い以前の彼は不安だったのか?(と仮定すると腑に落ちる事がある。それについては後述)
鰻に連なって語られるのは狂児の実の父のエピソードだ。これ非常に感慨深い。カラオケ行こ!の狂児の語りは「親父=組長」だったからだ。そもそもの関係の始まりから組長の存在がある。カラオケは絶対的な「強い」父の存在が印象づけられた物語でもあった。強くなく愛おしい実の父について語れるだけの関係性が聡実との間に出来たと考えたくなる。
このお茶目な鰻のエピソードが「真相を知らずにいる事」であり暗にライター・岡田を示唆している事はわかる。修羅場の一員になりながら彼が真実を掴むことは無い。しかしそれだけだろうか?とも思う。目の前の聡実(寿司に気を取られてあんまり聞いてない、これが若さか)もまた真相を知らない、という暗示に思えた。狂児はその愛の記憶に倣い聡実に真相を伝えないことをよしとしそうだ。真相が何かはわからないけれど。
でもここの場面はいいなと思う。揚がったえびを眺める聡実くんが薄く口元を緩め、それに狂児が気づく表情をする。かつてモーニングのテーブルで呟いたどこか上の空な「うまそうやな」とは違い、心はしっかり自分のもとにあるのだ。
阪神の優勝は1985年、狂児が5歳のときだったとわかる。カラオケ行こ!の巻末に載ってるプロフィールカードで1980年生まれとあるからだ。キャラクターのお誕生日や血液型とか、めっちゃ楽しそう。読者の皆さんであれこれ想像して楽しんでくださいね、という和山やまさんの限りないサービス精神を感じます。占いといえば聡実くんの左手をみた北条先生が「あっますかけ線」と言う場面もあった。
正直ぼくは聡実くんがなぜそこまで刺青を消して欲しいのかわからないまま最終話まで来た。ファミレスの根幹を貫く重要なテーマなのに。
成長できない。14歳に戻ってしまう。
それってカラオケにおける二人の関係が(名目上)「刺青を彫られないため」だったからだろうか。同意無く彫られた事実があまりに一方的過ぎるからだろうか。
それが最終話、やっとスタートラインに立てる、対等に…の言葉で腑に落ちたのである。会えなかった3年と彫られた名前。重い。その重さに釣り合う500円玉300枚なのだ。重さに返すものとして重くなくてはいけない(約2kg)。一万円15枚に変えてはいけないのだ(電子マネーは論外)。
しかし硬貨は大方川に落ちてしまう。ここで狂児が川に落ちた硬貨を拾いに迷わず飛び込もうとしたことで(川に飛び込むって阪神優勝からの目配せだろうか)、必死なのは自分だけではなかったと知ったのだと思う。
聡実くんの爆笑。眼鏡を外している。貴い。
そしてラストである。「ハグせえよ」は感慨深い。第一話で「足蹴るなよ…」という苛立ちで以てしか伝えられなかった彼の触れることへの思いがここまで来たのかと思うと(躱わされたのが不憫でならない)。
(続く)
コメント
コメントを投稿